フリーランスと会社員の共働き夫婦では、お金に対する価値観の違いが問題となるという話を聞きます。
私も独立やフリーランスの事業運営の相談に乗ることが多いのですが、パートナーとの価値観の摺り合わせは、気持ちよく仕事に専念するためにも重要な問題だと感じます。
この記事では、会社員からフリーランスになり、かつ会社員のパートナーがいる私(@archikata)が、フリーランスと会社員の共働き夫婦がパートナーと合意しておきたい3つのポイントをまとめました。
お金の貰い方が違うと考え方も変わる
会社員とフリーランスでお金の感覚が異なるのは、経費と税金の概念が2つの働き方で違う事にあると感じます。
以前働き方のイベントで話したときのスライドを紹介します。
お互いの価値観を摺り合わせるために一番大切なポイントは、フリーランスは、課税前に経費を計上できることです。
フリーランスがパートナーと合意しておきたい3つのポイント
こうしたお金の貰い方の違いから発生する価値観の違いを埋める、3つのポイントを紹介します。
1,収入は「事業」に投資するべきものであり、すべては使えないこと
フリーランスの場合、クライアントから振り込まれた金額をそのまま使えるわけではありません。業務報酬の一部を、未来の売上につながる投資にあてなくてはいけません。
プログラマであれば自分のサービスやアプリを作るために投資するのかもしれませんし、クリエイターならポートフォリオサイトが将来の売上を生むために必要なものかもしれません。
BtoB相手のフリーランスは知人の紹介をツテに仕事を獲得するのももちろん正攻法ではあります。しかし、差別化したサービスや実績を見える化することに投資しておくことで、新規の顧客の獲得に必ず貢献するはずです。
2,余った金額を運転資金として確保しておかなくてはいけないこと
フリーランスの場合は、いつ売上がなくなるかはわかりません。
会社員と違い、自分が仕事を辞める意志がなくても、契約がなくなったり、仕事の引き合いがなくなったりで、売上がなくなることは大いにありえます。
在庫を持たないビジネスだったとしても、少なくとも半年くらいは生活できるような運転資金は必要です。
なぜならフリーランスは一度売上が途絶えてしまうと、新しく仕事を受注できたとしても、報酬が入金されるまでにタイムラグが発生するためです。
会社員の感覚だと、余ったお金は貯金しておこうとか、計画的に積み立てていこうということになると思います。場合に寄っては、夫婦の共有口座に決まった額を入れましょうという話になるかもしれません。
フリーランスのような事業をやっている人間にとって、キャッシュは生命線です。儲かっている時も、そうでないときも運転資金を確保できるよう配慮してあげてほしいものです。
3,費用対効果の見込めない出費は極力避けたいこと
プライベートでも事業に関係がありそうなアクティビティを仕掛けていきたいものです。フリーランスにとっては、休暇と労働の境目がなくなるような暮らしが理想です。
個人的に嫌なこととしては、ビジネスと関係なさそうな海外のリゾートなんかに2人で出かけるようなことです。
駆け出しフリーランスにとって、投資にならないキャッシュアウトは正直なところしんどいものです。
一番良いのは、休暇で訪れた土地で人脈を作って、スモールビジネスをやってみるとかでしょうか。
フリーランスは誰とでも、どこでも、どんな仕事でもできるのが強みです。休みや場所にこだわらず、新しい事業の種を探してみるのもいいかもしれません。
お金のルールが変わることはパートナーと早い段階で合意しよう
この記事を書いたきっかけは、フリーランス仲間から相談を受けたことでした。
実は私自身も、会社員からフリーランスになった時に、当時同棲していた彼女にこうした売上と経費の概念の理解も得られず、残念ながら別れてしまいました。
事業をはじめるまでに極力キャッシュアウトを抑えたいということは自分の都合ではあるので、成功の算段がないのにパートナーに理解を得るのは本当に難しいことだとは思います。
また、会社員からフリーランスになったばかりだと、仕事をしてから入金されるまでにタイムラグが発生します。私の場合は、最初の仕事が雑誌のライターの仕事で、編集部に伺って入金されたのは半年以上立ってからでした。
当時の彼女からは、「家で仕事しているフリをするくらいなら、マックでもいいからバイトしてくれ」とずっと言われていました。
働いているのにお金が入ってこない。自分が情けなくて本当につらかったです。
フリーランスも事業主、しっかり「経営」しよう
私はフリーランスをへて、会社経営者へと立場を変えました。
会社経営をしてて特に感じるのは、フリーランスでもある程度の経営計画を立てておいた方がいいということです。
月次で管理するのが難しければ、四半期に一度くらい売上計上をして、戦略的に投資をしましょう。どれくらいの税金や社会保険料が発生するのか様子を見ながら計画的に手元に残るお金を管理しましょう。
できれば自分で稼いだお金から自分に給料を払うように、一定の事業運営のための経費や営業やマーケティングのための投資金額を差し引いた金額を、別の口座に振り込むといいでしょう。
最初はめちゃくちゃ面倒だと思いますが、自分以外の誰かに説明する上でも、大切なことだと思います。
いまのパートナーも会社員ですが、お金の使い方や、働き方の概念についてはかなり念入りに話しあいました。
つき合っている間に法人化して経営者になったので、さらに迷惑をかけたと思います。とても理解してもらって、恵まれているなと感じます。
とここまで書いて相方に原稿を見せたところ、「いまでもむかつく時はあるけどね」、と言われました。それでも、理解してもらえる我が家は恵まれているなぁと感じるのです。
フリーランスは、個人事業主とも呼ばれます。みなさんも個人「事業主」として、最重要ステークホルダーのパートナーへの了解をうまく取りつけてみてくださいね。